東京国立博物館「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

先週、今巷をにぎわしている「顔真卿 王義之を超えた名筆」展を訪れました。

夏樹美術は取り扱う美術品が中国美術も多いので中国と日本を行ったり来たりしているバイヤーの方の知り合いもいるのですが、その方も日本に立ち寄った時に足を運んだとおっしゃっていましたし、彼の中国の仕事仲間も「展示はよかったか?混雑具合はどうだったか?」と興味津々だったようで、日本だけでなく中国からも熱い視線が注がれる特別展です。

「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

台湾の故宮博物院も今後10年は貸与の予定はないと言っているので、日本の美術ファン、書家、趣味で書道をたしなんでいる方々のみならず中国からわざわざこの展覧会を見に来日くださった方々と平日午前中にもかかわらず非常に多くの人々で賑わっていました。

昨今個人的に様々な展覧会を訪れる機会が多いのですが、年々展示の仕方や展覧会そのもののタイトルがこちらの気分を盛り上げてくれる内容のものが多いと感じます。
今回もパネル説明や拓本で徐々に気持ちが盛り上がり、そこに天下の名筆と言われ久しい「祭姪文稿」が肉筆で現れると見た瞬間に拓本では再現しきれない肉筆ならではのその迫力に鳥肌が立つほどの感動を受けました。
王義之を始めとして顔真卿、欧陽詢、虞世南、褚遂良などの偉大なる書の大家たちを手本として、後世の趙之謙や王鐸、何紹基など、中国の名だたる書家たちが誕生し、日本においても最澄や空海、小野荷風、藤原行成にも非常に大きな影響を与えたことを考えると、どれだけ偉大な祖なのかが思いうかがえます。

「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

私自身も子どものころに手習いでお習字教室に通っていましたが、その時に先生が「こうやってここを少しこう書くととてもきれいでかっこいい字になりますよ」おっしゃっていたのが向勢といって縦の画が少し丸く膨らむように書く方法で、まさに顔真卿の書の特徴の一つであって、なるほど、小さいころから見慣れて「美しい、かっこいい」とインプリンティングされている字だもの、日本人が見ても美しい書だと思うわけだと妙に納得しました。

「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

会場は私が行った時間帯はちょうどツアー客の時間帯と重なっていたのか、半分近くが中国からのお客様で、中にはご家族連れでおそらく小学校低学年くらいのお子さんが一生懸命ノートにメモを取っている姿があちこちで見えたのがとても印象的でした。

中国の方々は書一つ一つをとても丁寧に見ていらして、一緒に来ている方と指さしながらいろいろ話をしているのを見て帰宅後社長に「彼らはあれら千年以上前の書をまだ読めるの?」と聞いたところ、「句読点がないから五言や七言でどこが文章の一区切りかを見極めることができたら大体何が書いてあるのかはわかるよ」とのことだったので、なるほどみなさん一生懸命読むわけだと彼らがとてもうらやましかったです。

夏樹美術での仕事柄、後学のためにという気持ちで訪れた顔真卿展でしたが、こちらが想定していた以上に個人的に盛り上がり楽しめた展覧会でした。

「顔真卿 王義之を超えた名筆」展

(夏樹美術スタッフ H)

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