10月19日に東京都新宿区四谷のアートプラザランプ坂ギャラリーで開催された、「和光‐魯迅 日中友好子ども版画展」を観に行ってきました。
この展覧会は和光学園創立八〇周年の記念行事の一つとして開催されました。
特に貴重な作品は約八〇年前に和光小学生が中国の文豪魯迅に贈った版画です。
これらの版画は北京魯迅博物館の収蔵品で、今回は日本に里帰り展でした。
このことを初めて知り、日本の児童がなぜ魯迅に版画を贈ったかの疑問は会場で現在和光小学校教諭の川上さんから頂いた資料で理解することができました。
簡略では有りますが紹介します。
魯迅の親友である上海内山書店主、内山完造の実弟嘉吉が和光学園で美術工芸の教師として、版画創作の指導をしていました。
内山嘉吉が夏休みに上海で兄の完造を通じて魯迅と知り合い、魯迅はかねてから木版画に深い興味を持ち、海外の版画集を出版するなどにとどまらず中国の若手木版画家たちを世に紹介することにも努めました。
このようにして上海で魯迅、嘉吉そして版画家たちが版画の講習会を開くなど交流を深めていきました。
内山嘉吉が魯迅に教え子の版画を贈ったことは魯迅と嘉吉が共通の木版画で深い絆で結ばれた象徴であると思いました。
また、魯迅が嘉吉に贈った中国青年木版画家の作品などが現在、内山コレクションとして神奈川県立近代美術館に所蔵されているそうです。
また、内山嘉吉は現在私どもの夏樹美術がお世話になっています神田神保町内山書店社長のお父様で有ります。
政治において日中関係がぎくしゃくしている今だからこそ、この展覧会を通じて日本の児童が魯迅に贈った版画を知ることが大事であると感じました。