令和元年の秋、青い空のもと、皇居東御苑大嘗宮へ行って参りました。
時間前というのに人、人が波のように押し寄せてきます。
私たちもその波の中へと坂下門からワクワクしながら歩いて皇居内に入りました。
ここが幕末、水戸浪士らが老中安藤信正を襲撃したいわゆる「坂下門外の変」が起こった場所かと歴史に思いを馳せながら黒塗りの枡形門を眺めていました。
坂下門から少し進みますと、左手にテレビでよく中継される宮殿の車寄せが見えます。
右手には宮内庁の建物が見えます。
赤、黄色、橙色、様々な種類の紅葉の並木通りを散策しながら、皇居乾通りに局門がみえました。
立派な格式高い門をみて、春日局、篤姫、和宮方々がこの奥に住まわれたかなあ、とつい想像してしまいました。
皇居東御苑には、バラ、ツツジなど植物園のような庭園のほか、茶畑もあることに驚きました。
いよいよ 一世一度の儀式大嘗祭が行われた大嘗宮と対面です。
精緻に整列された神殿はなんという簡素な社殿か、というのが第一印象でした。
しかしそのあと、聖武天皇の時代と同じ形の儀式の宮殿が目の前にある、と思うと、世界中どこにも類をみない日本の伝統の重みを感じました。
儀式の舞台としての役割を果たせたこの大嘗宮が解体され、撤去されることになると思うと泣きそうになりました。
大嘗宮を後にし、さらに東御苑を散策すると、昭和皇后陛下御還暦記念 桃華楽堂はひときわ華やかで、思わず足を止めて見入ってしまいました。
そして雅楽が聞こえてくるようでした。
書陵部庁舎を右手に梅林坂を下って、百人番所を出て、最後に三の丸尚蔵館の展覧会を見て、大手門から皇居東御苑を後にしました。
わずか半日足らずの参観でしたが、心も体も満たされたと感じました。