中国の書家 董其昌

東京国立博物館東洋館では中国明時代の書家董其昌を特集した展覧会が開催されています。
董其昌は書家でありながら文人画家そして鑑定家、収集家としても造詣深く、その書画は清朝の康煕帝や乾隆帝にも愛好され、清朝そして中国書画の流れに大きな影響を与えました。

(董其昌の書 掛軸)

余談ですが、董其昌の師莫如忠は進士から浙江布政使まで昇進した官僚です。
その子の莫是龍は董其昌の兄弟子でしたが、科挙に落第し、仕途に就くことが出来ませんでした。
晩年、貧困生活のうちに歿したと言われています。
しかし莫是龍も董其昌同様優れた書画作品を後世に残しました。

(左:莫是龍の書 掛軸/右:陳継儒の書 掛軸)

董其昌は翰林院編修から皇太子の教育係、湖広提学副使、そして南京礼部尚書(南京の文部大臣)まで明の朝廷に仕えました。
しかし、董其昌生涯の唯一の親友である陳継儒は宮廷の度重なる招聘を固辞、29歳時に草庵に隠居、生涯仕官することなく、布衣生活を貫きました。
陳継儒も書家でありながら墨竹、山水画もよく描きました。

日本では書家をはじめ多くの文人墨客は董其昌、莫是龍そして陳継儒の書画作品をほかの中国書画と同様に愛し、たくさん収蔵してきました。
中国美術品を継承することにおいては多大な貢献であると思います。

(夏樹美術スタッフ N)