花の中で桜ほど日本人を浮き立たせるものはありません。

花の中で桜ほど日本人を浮き立たせるものはありません。
日本のどこかで桜が一輪咲いたと言ってはニュースになり、満開ともなればその情景は、花より花を見ている人々を見ている方が楽しくなるほどにみなさん平和な顔になっています。

古くから日本人は桜に特別な感情を持っています。
文学や美術に桜を題材にした作品がはなはだ多いことはその表れだと思います。

まず、平安時代の古今和歌集に桜を詠んだ詩をいくつかご紹介いたします。
*このサイトから引用させていただきました。
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/index.html

春ごとに花のさかりはありなめど逢ひ見むことは命なりけり(古今97)
訳:春が来るたびに花の盛りはあるに違いないが、巡り逢って花を見ることは命あってのことである。
待てといふに散らでしとまる物ならばなにを桜に思ひまさまし(古今70)
訳:待ってくれと言うのに対して、散らずに枝に留まるものであるならば、何物を桜の花以上に慕おうか。慌ただしく散ってしまうからこそ、桜をこの上なく慕うのだ。
空蝉の世にも似たるか花桜さくと見しまにかつ散りにけり(古今73)
訳:はかない現世に似ているのか。桜の花は、咲いたと見るうちに、次から次へ散ってしまうのだった。

伊勢物語 断簡

花下群舞図屏風

徳川家康は無類の花好きであったそうで、その子2代将軍秀忠も負けず劣らず花に目がなかったそうです。
3代将軍家光に至っては新種まで創ったとあります。
地方の各藩が競わなかったはずがありません。
そして、桜の名所として、御殿山、隅田川堤、上野山などが整備され、庶民も花見するようになったといわれています。

観桜図屏風

桜をモチーフにした美術作品をいくつかご紹介いたします。
東京国立博物館 特別展「花」(1995年)を参考させていただきました。

桜狩蒔絵硯箱

鼓の瀧蒔絵小鼓胴

四方蕨手桜文透鍔

鍋島焼 色絵桜樹図皿

そして日本列島400年、私達は毎年1年のたった1週間で終わりと始まりを楽しみます。
この頃外国の人達にも知られるようになりました。何とも嬉しくも誇らしい気分にさせられます。
平和が一番。

横山大観 足立美術館 横山大観展 裏表紙

橋本明治 山種美術館 特別展 日本の四季

(夏樹美術スタッフ N)